俺はとあるサイトでWEB小説を書いている。
ある日いつものように執筆活動に勤しんでいたら、運営からのメッセージが来ていた。これはもしかして書籍化依頼なのではないかと、期待に胸を膨らませメッセージを開くと――
自作品中で物語序盤に主人公にボコ
ボコにされる負け犬貴族敗北者キャラ、クルトに転生したのである。
ハァ……ハァ……敗北者……?
取り消そうにも実際その通りだよ、今の言葉!!
しかし、そんなキャラであっても、自分の書いている作品の世界に転生し、その作品の中のキャラに転生したということには変わりはないだろう。
こうして、原作者による原作知識チートが今ここに――
特に始まらないんだな、これが。
なんでだよ。なんで転生したのにチートできないんだよ。フィクションは小説の中だけにしとけよ!!
ってこの世界現実だけど小説の中だったわ。フィクションじゃないのかよ、騙された!
こんな世界を作った奴を詐欺罪と器物損壊罪で訴えます。理由は勿論お分かりですね。俺を異世界転生でチートできると勘違いさせ、俺の心を壊したからです!!
でもそういう世界にしたのも俺だし、クルトを負け犬設定にしたのも俺だった……。
これは、自分の作った設定に苛まれ、文句を言い続ける主人公ではないクルトが、なんとか頑張って負け犬貴族敗北者ルートを回避しようと苦心する物語です。
1から100まで自分のせいですけどね!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-17 17:00:00
117149文字
会話率:34%