「なんだ、娘か」
必死の形相で初産に挑み、
我が子をこの腕に抱くことだけを心の支えに頑張ったものの、
やっとの思いで産まれた娘を見て夫はそう吐き捨てた。
労いの言葉もなく部屋から出ていく夫と、
凍りついた空気の中に残された使用人達。
実
家からついてきてくれた侍女は激怒し、
私は呆然としたまま不要と断じられた娘の名前を口にした。
――瞬間、思い出される前世の記憶。
前世の私は売れない小説家だった。
風前の灯火だった作家生命を前に慣れないテンプレに手を出し、
愛情の欠片もないキャラクターを生み出したことが創造神の
怒りに触れてしまったのでしょうか?
でもそれならせめて悪役令嬢になる娘にしてよ。
ナレ死にする予定の母親とか、破滅回避無理じゃない?
とはいえ産んだ瞬間将来娘が悲惨な死に方をするとか冗談じゃない!
自業自得は私だけで充分だってば!
これはテンプレ冷遇夫(悪役)と娘(悪役令嬢)を
生み出した妻(作者)が家族の幸せの為に奔走する話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-06 22:15:11
66599文字
会話率:42%
側妃の娘であるハナは、魔力の証である『石』を持たずに生まれたこともあり、『石なし』として王宮で虐げられ、まるで存在しないかのように扱われてきた。しかし姉の王女イリアが『呪われている』と噂のアンクルヴァン公爵に求婚されると、その身代わりにされ
ることに。
夫となった公爵は、花嫁がイリアではなく、その妹であることを知ると激高し、ハナを屋根裏に追いやってしまう。
また冷遇される生活が始まるのかと思いきや、どうも夫の様子がおかしくて……。
「イリアはぼくのことが好き……嫌い……好き……」
一人で花占いをするほど『姉』を愛しているらしい公爵が、あるとんでもない間違いに気付いて後悔するまでのお話。
※2万字ほどの短いお話。さくっと終わります。
※浅見名義で他サイトにも投稿中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-19 18:02:06
16447文字
会話率:30%