人は人生の中で、選択肢の海を泳いでいる。
一つを選択して進んだ道の裏側には、それを選ばなかった世界線がある。選んだ選択が幸せへと繋がるときもあれば、悲惨な道を歩かせてくることもある。
ここはそんな世界の裏側、選ばれなかった側の、可能
性の世界の物語。
存在しない世界『不界』に導かれた彼は、可能性の渦に巻き込まれていく。
「ここは選択肢の裏側の世界。僕択裏《ぼったくり》は君の選んだものの反対側が選んでくるよ」
食事処で安いものを食べようとしたら、体が勝手に高いものを注文してきたり。
「俺頼むつもりなかったんだって!」
「君は安い方を選んだから、僕択裏が高いのを出すように強制したんだね」
「くそ、注文取り消しを」
「あ、追加で一万コルムのプリンが注文されたね」
「何でだよ!!」
水が弱点の敵に水魔法を使おうとすると、体が勝手に炎魔法を出してしまったり。
「おい! なんで炎魔法だしてんだよ!敵が回復してんじゃねーか!」
「なんでって言われても君の体が動いただけだから。あ、今の炎で森に被害出たから後で六万コルム損害賠償が請求されるよ」
「は!?」
二手に分かれた道で行こうとしたら、選択肢が出てきて「邪竜と戦う」か「五万コルムを払う」かの二択を迫られたり。
「通るだけで五万コルムも取られるのか!?」
「嫌なら邪竜と戦うしかないね。ちなみに負けたら治療代で二万コルム損失して、勝ったら周囲の修繕費で三万コルム払うことになるよ」
「勝っても負けても金とられるしぼったくりじゃねーか!」
「だから言ったじゃないか。僕択裏だって」
払い払わされて、借金という名の呪縛で
彼は永遠に裏の世界に絡め取られてしまうのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-26 18:55:39
37113文字
会話率:49%
血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。
いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息
たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。
これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-01 12:00:00
277504文字
会話率:44%
ショートショートです。井ノ原家は、15年間住んでいた賃貸の一軒家の引っ越し作業を終えた。父親の井ノ原信夫は、これから始まる退去時点検の調査員を待っている。退去時点検とは、退去後の修繕費用を、貸主側、借主側のどちらの負担とするのかをはっきりさ
せる主旨で行われるものである。調査員としてやってきた管理会社の松田は、相当やっかいな男であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-09 14:42:27
11428文字
会話率:50%
2045年
和国、国政12長の一席を持つ名家:白鳥家は財政難に陥っていた。
その理由はとても簡単で白鳥家の一人娘、白鳥アヤメが能力制御出来ないために色んな物を壊したためだった。
気づけばその修繕費用は白鳥家の資産を遥かに超えていた。
日に日
に貧乏になっていく白鳥家に救いの手を差し伸べたのは、白鳥家と同じ日本の国政12長の一席を持つ名家:四方堂家だった。
今までアヤメが壊した物の全ての修繕費用を肩代わりする代わりにアヤメに四方堂家にメイドとして仕える条件を差し出してきた。
これにアヤメは反対したがアヤメに選択権などあるはずもなく、白鳥家最強執事、高宮零士にメイドのシフト休み以外は全て送り出されるためサボることが出来なかった。
そんなこんなで毎日のように繰り広げられるメイドの日々もいつしかアヤメに少しずつ仲間が増えていき楽しくなっていった頃、アヤメ達を狙う怪しい影が現れるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-07 18:00:00
9081文字
会話率:42%
拝啓 魔王ヴェルムート様
緑照り映える今日この頃、いかがお過ごしですか。
我々無神教におきましては、魔王様の襲撃によって数名の死者が出ました。
また、建物の損壊も激しく、修繕費用に頭を抱えております。
なので、魔王様。覚悟はお済みですか。
魔王城の外観に生命の息吹が感じられませんので、僭越ながら緑を贈らせて頂きます。
敬具 無神教教祖シューニャ
追伸
クソガキめが。死ぬがよい。
※邪教の教祖が、魔王に植物テロを仕掛ける話です。
※自作曲を小説化したものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-25 22:30:00
29515文字
会話率:35%
――もう、コイツのことなんて絶対に許さない……!
運命のその日、美鈴はとうとうブチ切れた。
三年間の同棲生活、最初は楽しいばかりだったふたりの心にもいつの間にかすきま風。その上、勝巳(まさる)の浮気が発覚!
修復不可能となったと思われたふ
たりの前に現れたのは棚から落ちた水晶の置物が実体化した「天使」だった――
◇サイト「夏色図鑑」掲載作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-06-23 07:53:16
26173文字
会話率:38%