何故冬の女王様は塔を離れないのでしょうか。
何故春の女王様は塔を訪れないのでしょうか。
困った王様がお触れを出しました、とさ。
「王様がいるのに女王様もいるのって、おかしくね?」
「お后様のことだよきっと。だからおかしくはないの
よきっと」
従者の二人が、左右から好き勝手に喋っている。
なんともはや、喧しい。
「ということは奥さん? 奥さんが部屋から出てきてくれないの誰か助けて?」
「なっさけない王様だねぇ。首でも括って死んだらいいんじゃない?」
もう少し静かにしろと、注文を付ける。
はーい、はーい、と返ってきた。返事だけはいつも元気なふたりなのだ。
「そろそろ春ちゃんの出番なのにお冬さんが出て行ってくれないのね」
「王様だからって好き勝手しすぎでしょ。四人囲って交代制? ふざけろエテ公」
そう、返事だけはいつも明晰なのだが、結果は伴わない。ああ姦しい。
後、女王様が四人いるっていっても、衣替えしているだけで本質は同一だからな?
「それで? ご主人はどうして関与? 別にほっときゃいいじゃない」
「『好きな褒美を取らせよう』だからだよ。王様の魂ヨコセなんだよ。さすが悪魔だよ」
そんな書き出しで始めた、神を目指す悪魔のお話です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-08 22:16:39
5442文字
会話率:21%