女神ルーシェルはうんざりしていた。それはもう、うんざりしていた。
神々の住む天界では「自分は何個の世界を救ったー!」だ、「私はあの難しい世界を救ったのよ!」だ、「吾輩だって何人の勇者を育てた!」と常にマウント合戦。神々にとって世界救済
の成果はステータスであり、自慢すべきものであり、神々は常に世界を救うことに全力だった。
しかしルーシェルは別だ。いくつの世界を救おうとも、結局、神々はマウント合戦をやめない。そこでルーシェルは思いつく。「そうよ、天界にいるから疲れるのよ! その辺の世界に引きこもっちゃえば他の神に会わないじゃない!」
天界のマウント合戦から逃れるため、ルーシェルは平凡な勇者を選び、平凡な世界に行って、さっさと勇者を見捨てる。
こうしてルーシェルは絶対に救済されることのない世界で悠々自適に引きこり生活を始める……はずだった。しかし一人の少年レクト・ラスカルとの出会いにより、ルーシェルの運命は大きく変わる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-11 21:07:03
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会話率:52%