太陽に弱く、ニンニクが嫌いで、十字架に恐怖する。そんな民間伝承のでっち上げなど弱点ではない。本物の吸血鬼は白昼を闊歩し、ニンニクを喰らい、十字架をへし折るバケモノだ。俺はその事実を吸血鬼に――隻翼のハーフヴァンパイアになってから、己が身で実
感した。この現代社会において、冗談みたいな吸血鬼に襲われ、御伽噺のように吸血鬼と化した。人間としての宵噛帳《よいがみとばり》は死に絶え、吸血鬼としての宵噛帳は生を受けた。吸血鬼の生活は前途多難だ。ヴァンパイアハンター。吸血殺しの人浪。死肉漁りの怪物。などなど、戦いの日々は耐えることがない。
これは人だった者が、鬼として生きる物語だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-10-06 00:13:45
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会話率:32%