泥縄第二高校と、隣の県の系列校・泥縄第一は、どっちかが一人でも生徒が減ったら統合される瀬戸際だった。あろうことか、向こうからこっちへ転入する生徒が出ることがわかり、生徒会は統合を阻止するべく、代わりに人間を向こうに送り込む。人柱を務めるの
は、責任感の強い生徒会長だ。
しかし、こっちの人数を減らすわけにもいかない。生徒会長は当然、生徒の前に出なければいけない場面が多い。副会長女子マヤ、書記長男子カニ、書記次長女子オロネの三人は、統合の危機を招いた当事者の転校生スシを巻き込み、会長が必要な局面で助け合いながら化身(本人の制服を着て、髪型を同じにして、バレないように代役を務める)する。ダブルブッキング、無理やりな人員配置。果たして役員は、一般生徒にないしょにしたまま、会長が学校に戻れる日までやり通せるだろうか。
スシは、会長の代わりに生徒総会で話す、校歌を作ると約束した会長に代わって作る、会長の留年危機を救うため女子の水泳授業に出るなど、試練に向き合っていく。
キュー山はち夫と申します。ちょっと変なペンネームですが、工学社「I/O」誌の読者欄で長らく使っているものです。「小説家になろう」初投稿です。この作品は小説賞を目指して書いたものの、送ったのが締め切り20分前だったせいもあるのか、あっさり落選。自分で持っていても埋もれるだけですので、こちらに出します。細部は手直ししていますが根幹はそのままです。
【登場人物紹介】
スシくん=本編の主人公。転校してきて生徒会執行部に誘われる。女子のような声を出せるのが特技。
マヤさん=副会長。会長不在の執行部のリーダー。会長に一生懸命化身して別人格になりきろうとするあまり、そっちが本当の自分の人格みたいになる危険をはらんでいる。
カニくん=書記長。執行部の知恵袋。優しい性格だが、ときどきスシくんに対してだけ妙に厳しくなる。
オロネさん=書記次長。彼氏(カニくん)がいるのに学校の男子人気ナンバーワン。よく気がつき、何も言わなくてもうまくいくように動いてくれる。必要とあれば直言もする、ありがたい人。
クロハさん=生徒会長。泥縄第一高校に出向中。向こうの学校が休みだとこっちに戻ってくる。
キラさん=新聞部長。明るくて勝気、生徒に人気がある。執行部の面々は、化身の秘密を暴くとすればこの人だろうと警戒している。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-29 23:00:00
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会話率:60%