かの男の感情を支配するは、まさに怒り。
その怒りは普段は冷たい空気の奥底にあり表層を表さないものの、一度灯れば忽ち果てしなく燃え盛る。それこそ、怒りの向く先を燃やし尽くさなければ仕方ないと言わんばかりに。
この怒りの炎に下手に触れれば
、火傷どころじゃ済みはしない。たちどころに飛んできた刃に、その首は撥ねられるだろう。
河上彦斎、彼の怒りはそれほどまでに深く、激しく、そしてどこまでも焼き尽くさんと言わんばかりの執念がそこにあった。それこそ、怒り故の人斬りの多さから、人斬り彦斎とあだ名される程に。
しかして、多くの者を焼いた怒りの焔が、最期には己自身を焼くことになろうとは、痛快な皮肉じゃあないかね。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-21 17:09:10
6638文字
会話率:15%
嘉永三年と安政三年の二度、肥後熊本の地は長州の士を受け入れた。一度目は吉田 松陰、二度目は少年期の久坂 玄瑞である。知らず松陰の足跡を追っていた久坂は、その地で自身と松陰を結びつける一人の男と一人の暗殺者に出会う。池田屋事件で死すことになる
「松陰の友」宮部 鼎蔵と「人斬り彦斎」こと河上 彦斎であった。「友情」と「殺人」の両極のはざまに揺れながらも、松陰の草莽の教えを受け、やがて久坂は自身が二面性をはらんだ過激な志士へと成長してゆく。幕末郷土の偉人特集第二弾、肥後勤皇党と長州志士の友情そして因縁を描く。
第一弾同様、一部のキャラクターや設定は友人の作品を下敷としています(掲載・応募の許諾あり)。
※ 時代系列はおおむね史実通りですが、事件の経緯や解釈などは創作の要素が強いです。
pixivとの重複投稿を予定しています。
主要キャラクターの紹介記事を作成しました。
目次の下にある画像から、『seesaawiki』さん内の該当ページへ飛ぶことができます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-30 16:00:00
626704文字
会話率:43%