ジリリリリーン、
ジリリリリーン、
我が家の黒電話が鳴っている。
漆黒のボディーに滑らか曲線。丸いダイヤルに時計状に示された数字たち。最新インダストリアルデザインにも引けが取らない秀逸なセンス。
電話という物とはこうでなくてはいけない。そう
いうものだ。
骨董品的品物だが、我が家では現役だ。
今日も、黒光りしたボディがベンツの様な貴賓を醸し出している。
ゆっくりと回るダイヤルが、一瞬、時を止め、戻るまでの時間で、相手への思いを叙情的な感情で味わせてくれる。
そこで一句、
「秋の夜の 鈴虫の様なベルの音 耳をすます我一人」
お粗末。
ジリリリリーン、ジリリリリーン、
ジリリリリリーン、
しつこいな、
ガチャ、折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-14 00:08:48
2324文字
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