「絶対に、この結婚から、逃げてやる!」伯爵令嬢リュシエンヌはそう決意していた。彼女の横暴な父親が、勝手に彼女を嫁がせてしまったのだ。しかも、親子ほども年の違う相手の、後妻として。
そうして彼女は入念に準備をして、婚礼の馬車から逃げ出し、行
方をくらますことに成功した。男装してリュシアンと名乗り、遠くの町へと足を運ぶ。
ああ、やっと自由になれた。喜んでいた彼女だったが、さらにとんでもない事態に巻き込まれてしまう。彼女が逃げ込んだ先の町、そこで彼女は聖女としてまつりあげられてしまったのだ。
仕方なく彼女は、青年のふりをしたまま聖女リュシアンとしてその町で暮らし始める。ほとぼりが冷めたら、またどこかに逃げてしまおう。そんなことを思いながら。
しかし聖女としてたくさんの人たちと触れ合っていくうちに、彼女は少しずつ違う思いを抱いていく。そんなある日、国からの使者がやってくる。それまでは逃げ出すことばかり考えていたリュシエンヌは、ついに危機に正面から立ち向かうことを決意するのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-03 12:10:49
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会話率:36%