西蔵町で発行されているミニコミ「井戸端便り」には、地元で起きた不思議な出来事を掲載するコーナーがある。高校に入学したばかりの太市が、なぜかその取材と執筆を担当することに。その記念すべき初仕事が、第一話のジャージーベンチの話である。ただ物書
きとして素人の太市は、ネタ探しに四苦八苦。連載を続けるにあたって、ネタ集めのルートの開拓が急務と考え、まずはご近所、風呂屋のフリースペースに目を付けた。第二話は、そこで知り合ったウナギ屋の主人、万次さんの思い出話。でその話だが、子供時代に万次は、遊び場にしていた川で毒漁ともいえる珍しいウナギ漁に遭遇した。思わず腰を入れて見入るが、やがて自分の背後で鋭い視線を向ける麦藁帽の少年に気付く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-26 16:00:00
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会話率:25%