俺は東京下町の母一人子一人の家庭で育った。小さい頃から下痢気味の虚弱体質で、小中学校時代に話し相手は一人もいなかった。母子家庭で貧乏で虚弱体質、そして影が薄いことを、不思議と寂しいとも悲しいとも思ったことはない。俺は相当無気力で鈍感な子供
だった。
小学校5年生の時、校舎の裏で悪ガキ4人に取り囲まれて殴られているうちに腹の調子がおかしくなり脱糞した。そこで俺に付いたあだ名が「クソオ」だ。中学を卒業するまで俺は女子を含めたみんなから「クソオ」と呼ばれ続けたが、そのことだって気に病む程のものではなかった。俺には人並なプライドもなかった。
高校に入学するとすぐに母親が車にはねられて死んだので、俺は高校を退学した。すると担任が日本料理屋を紹介してくれて、そこで働き出した。俺は案外料理人に向いていたようで、店の同僚とそれなりにうまくやっていき、そこで社会人としての知識や振る舞いを身に付けて、15年が経った。このまま順調にいけば、俺は結婚して小料理屋を持って、妻と子供と一緒に、ささやかではあっても幸せな生活を送ることができたはずだ。
そんな俺が満員電車の中で腹を壊して脱糞し、その車両に乗り合わせていた人々は悪臭でパニックに陥った。この現場の模様はSNSで流された。このことがきっかけで、俺は料理屋を辞め、10年間住んでいた「カスミアパート」の四畳半一間の部屋に引き籠ることになった。
引き籠って10年が経った頃、いきなり大家のミドリさんが俺にアパートからの退去を通告してきた。俺が1年間家賃を滞納していたせいである。それでも退去するまでに2ヶ月の余裕が与えられた。
俺はホームレスになることを決意し、彼らが住む簡易テントを下見することにした。そこで親切にしてくれたサンちゃんが、若者のホームレス狩りにあってあっけなく殺された。次の夜、テントの中に寝ていた俺もそいつらに襲撃された。
俺は彼らへの復讐を計画したが、復讐する前にかれらはあっさりと警察に捕まってしまった。そこで俺は計画を無差別大量殺人に切り替えることにして、そのための準備を着々と進めた。ところが、この計画に末期がん患者のミドリさんが乗って来て、計画は大きく変更されることになった。「FBT」とミドリさんが名付けたおぞましいテロを、ハローウィンの日に渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、二人で実行することになった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-22 00:00:00
91244文字
会話率:39%
眼鏡、そばかす、三つ編み、そして影が薄い!
そんな王国の姫、アンジェ特に影が薄いという悩みを持っていた。
それは王国の姫として扱われないほど、影が薄いという呪いめいたものだった。
どうやら皆にはほとんどアンジェの姿が映っていないらしい。
仕
方なく、変えようもなく、放っておかれる日々を耐えて過ごす。
そんなある日、気配で人を察知できる騎士が通りかかるという噂が流れ舞踏会に。
だが、影が薄いアンジェは放っておかれて舞踏会にも参加できない。
誰もがいなくなった静かな城内で、うめき声を聞く。
その夜、運命の出会いと共に、姫の人助けの日々が始まる。
次第にそのうめき声の主は姫に知識を与え……姫は活動することによって成長を遂げていく。
うめき声の主の正体とは?そして、姫を邪魔をする継母の手が伸びる!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-05 15:20:02
24749文字
会話率:42%
「生きるのに疲れました。だからちょっと私の話に付き合ってください」
彼女はそう言って、にこりと笑った。いやいや、疲れてる人って、そんな風に笑ったりするものなの?
疑問に思いながらも、僕は結局、唯一の美術部仲間である星野さんの話に付き合う
。断ってギスギスしたくないし。
星野さんと松田くんによる、生死を掛けないけど本人達にとっては大事な話……に、横槍を入れる話。
◆基本、一話完結モノです。ただし、一話が長い場合あり。
◆不定期更新です。一話分、思いついたら投稿します。
◆黒星は終了の合図です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-30 12:00:00
22753文字
会話率:51%