とある大学病院で働く看護師、笹岡明(ささおかあきら)。
彼にはある秘密があった。
それは、赤ちゃんの『想い』が『声』として聞こえてしまうこと。
そんな笹岡の、新たな配属先はなんと、新生児集中治療室(NICU)。
赤ちゃんの『
声』だらけのNICUで、笹岡は、ちゃんと仕事に集中できるのか?
赤ちゃんの『声』だらけのNICUで、笹岡は、怪しまれずに仕事をすることができるのか?
赤ちゃんだらけのNICUで、笹岡に彼女はできるのか?
そして今日も、赤ちゃんたちから次々と繰り広げられる『ボケ』への、笹岡のツッコミが炸裂する!……心の中で。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-02-28 20:42:45
71512文字
会話率:1%
僕が出会った一人の女。彼女の名前は紅緒と言った。
初めて出会ったのは新生児室。ガラスの向こうで頬杖をつく彼女。
幼児時代にでかけたショッピングモール。警備員室でタバコをふかす彼女。
台風に見舞われた幼稚園の校庭。赤い傘を斜めにかざす彼女。
小学校の屋上の給水タンクの上。ジュール・ヴェルヌを読む彼女。
中学校時代に見つけたホームページの画像。つまらなそうに佇む彼女。
高校の同級生につきまとわれた輸入雑貨屋。僕より背が小さくなった彼女。
いつ出会っても、僕の記憶の中の彼女とまったく変わっていなかった。黒く長い髪。笑っていない顔。甘い煙のタバコの匂い。
彼女は常に僕のそばにいた。いつもの顔で、いつものタバコの匂いを撒き散らして、いつもどこか寂しそうにしていて。
ある日、僕は気が付いた。彼女は歳をとっていなかった。
僕はいつも彼女を探していた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-12-04 21:37:11
33814文字
会話率:19%