「僕は宇宙に恋している。瞬く星や、渦巻く銀河の先を見てみたいと、そう思っている。でも、僕は学者であって宇宙飛行士じゃない。だから、君に見てきてほしい。宇宙の全てを。僕と、世界中の人の夢を乗せて」
私を生み出した彼はそういった。
これは2
035年にロシアの宇宙基地で完成した私、次世代ロケット『イデアール』と開発者の若き宇宙物理学者ユーリが、お互いの夢に思いを馳せながら時代の荒波に巻き込まれていく、数奇な運命の物語――。
近未来を舞台にした2部構成SF短編。1部目は少女の心を持つロケット『イデアール』が、意思疎通できないとわかっていても話しかけてくれる開発者のユーリとの毎日や、憧れるロシアの先輩ロケットの話などをロケット視点から描いていく。
そして2部目、彼女の知らないユーリの視点から時代の流れと真実が語られる。
第一回星新一賞に応募。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-09 22:34:56
8453文字
会話率:40%