【2019ラグビーW杯記念作品】
たくさんの感動をくれた大会に感謝を込めて。
3~4話程度の短編で、ほとんど実話です。
が、どれほど実在の人物・史実に即したエピソードが登場しても、これはフィクションです。
できるだけ多くの方にお読みいただ
き、「ONE TEAM」について想いをはせていただければうれしいです。
嵐の夜、平優子(たいらゆうこ)は必死で運転していた。一歳の幼い娘が高熱を出し、意識がない。落雷と暴風雨のなか、休日の夜に診察してくれる医者を求め、隣町を目指して車は北上する。
サバンナを抜けたところで優子は青ざめた。検問所に光が点いている。嵐の夜には無人だと信じて、祈って運転してきたのに。
後部座席で熱のある赤ちゃんを抱いている乳母(ナニー)は、覚悟を決めた。この国で主人の車に召使が同乗することは、死を意味する。
新人警官は目を疑った。堂々と法を犯してやってきた自家用車は隣の夫人だった。自分の職責とこれまでの人生を掛けて、犯罪者は罰せられなければならない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-06 22:00:00
23965文字
会話率:11%