ある財閥の令嬢、アーケミスト・パインバックは一七歳。判で押したように繰り返される日常に退屈し切っていた。
いつものリムジンでの帰り道、回り道した街角でふと、それまで嗅いだことのない食べ物の香りに心をひかれる。それは彼女のこれまでの生活で
、決して食膳に上ることのなかった庶民の料理、カレーライスの香りだった。
強い興味を覚えた彼女は、付き添った執事兼運転手が止めるのも聞かず、その匂いを発する小さな食堂で食事することを決意する……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-01 16:00:00
40371文字
会話率:43%