全国からヒト・モノ・カネが集まり何不自由なく暮らせる大都会。彼はそんな大都会のごく普通の一般的家庭に生まれた。しかし、そんな大都会に住んでいる彼『倉橋 優』には悩みがあった。
それは優秀すぎる二卵性の双子の姉『倉橋 由愛』という存在だっ
た。志望校への入学試験で二卵性の双子姉倉橋 由愛は高名な進学校に首席で合格し、そして弟の倉橋 優は第一志望校に落ちたのだ。充実した高校生活を満喫する姉の由愛。かたやすべり止めで受けた高校には受かったものの、思い入れのない普通科の学校に惰性のように通う自分。
そして、優は成績においていつも父親の顔色を窺う毎日―――。そんな学生生活も今年で二年目に入ったある日―――
「普通科のクラス二位と、進学校学年一位とじゃあ・・・比べものにはならないって・・・―――」
二年生一学期の中間考査。半ば自棄になって鞄を乱暴に投げ置いたそんなおり、彼は写真立てを床に落としてしまう。そんな彼、優は落とした写真が納まった写真立てを拾い上げようとして―――、それは子どもの頃に母方の田舎で撮ったいとこ達との写真だったのだ。
「――――――」
その写真を見つめたとき、優の中で懐かしく楽しかった記憶が鮮やかによみがえる。優はそのとき心中の『霧杳』が晴れ渡るような感覚を覚えたのだ。一大決心をした優は―――
「母さん、大事な話があるんだ―――」
と、母へとある相談。はてさて、優はその街で成績や勉強の他に、大切なものを手に入れることができるのか―――。優の心の『霧杳』は晴れるのだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-01 18:47:08
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