これはいずれ吹き荒れる四重奏へ通り雨の旅行士が辿り着くまでの前奏曲。レーゲン・アーヴェント、若き旅行士の旅立ちから、仲間たちとの出会いまで。本編では描写されなかった前日譚としての物語を綴っていく。
※この作品は「通り雨の旅行士《トラベ
ラー》」の前日譚にあたります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-01 01:24:15
40068文字
会話率:30%
――始まりを告げるのはいつだって一陣の風だ。
世界中に死と破壊を撒き散らした〈災厄の禍年〉の終結から十八年後の現在。人類を脅かす異形の軍勢を打倒し世界を救った英雄たちも姿を消して久しく、いまだ多くの傷跡を残す大地の上で、人々はそれぞれ
の日常を懸命に営んでいた。
そんな断絶と混乱に満ちた世界にはいつしか、道なき道を切り拓いて進む者たちが現れた。ある者は正義の徒。ある者は無法の輩。主義信条さえ千差万別、己が力と意志を貫いて生きる彼らを、人々は旅行士と呼んだ。
レーゲン・アーヴェントもその一人だ。灰白色の髪に瑠璃色の瞳。得物はそれぞれ師と父仕込みの剣と拳銃。身に宿すエーテルの力は風と水。トレードマークに空色パーカーを着込んだ彼女は、冒険と再会を志して故郷を旅立った。
雨の名を持つ少女を待ち受ける数多の出会いと別れ。勝利と挫折。仲間たちと共に辿る旅路の果て、世界に挑んだ若き旅行士が見るものはなにか。遥か空の彼方から〈天輪〉が見下ろすエーテルに満たされた世界に、新たな戦いの予感が迫る。
その発端となるのは森で迷った一人の少女。迷子探しから始まった騒動は、とある平穏な村を巻き込んだ激戦へと発展する。剣と魔法。歌と銃声。稲妻と閃光。襲い掛かる脅威にレーゲンたちが立ち向かう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-24 01:43:33
556292文字
会話率:30%