途中まで悲恋 小説家になろう　作者検索

曇り空の下、村人たちが大勢集まってガヤガヤと活気のある道を、柔らかい栗色の髪の少女・華月（はづき）が走り抜ける。 心を込めて作ったお守りを少女の許嫁・蓮（れん）と弟・宵（よい）に渡すために。 早足で近づく私に、先に気づいたのは宵だった。すぐに宵が隣に立っていた蓮に声をかけ、彼がこちらに顔を向ける。 私に気づいてくれた事がとても嬉しくて、舞い上がりながら近づこうとした。 「止まれ」 静かな声で、宵が私に制止をかける。 攻撃してくる宵。 宵に目を向けている蓮を見たとき華月は悟ったーー「私の世界にはなってくれないの…」 彼女は全てを諦め、「特等席」から身を投げた。 しかしーーー次に目覚めたとき、華月は6歳の誕生日を迎えた過去に戻っていた。涙を浮かべる宵と、じっとこちらを見つめる蓮。前世の記憶、前前世の記憶の2つの記憶を持ったまま、彼女は「今の生き方」を考え始める。 これは、二度の人生を経た少女が、三度目の人生で何を選び、経験するのかーー？折りたたむ>>続きをよむ