「リリーウェル!婚約を破棄して貰おう!」
……お好きにどうぞ、って言いたい。
リリーウェル・ユーエトラ・ミレーユ
社交界で、彼女はそれなりに有名な令嬢だ。
ミレーユ侯爵家の長女であり、第二王子の婚約者。しかし、いつどこにいるのかわからな
い、影が薄いようでどこか強烈な印象を抱く少女。
貴族とは名ばかりの、豪遊ばかりして領地をほっぽり出すリリーウェル以外のミレーユ侯爵家の者達。
だが、不思議なことに、ミレーユ侯爵領は厳しい税を取られることなく、寧ろきちんとした政策によって下手な領地より潤っている。
分かる者は、分かっているのだ。それは彼女のおかげなのだと。
そして、その者達は彼女に決して近づくことはない。
彼女のその、冷徹な瞳を向けられないようにーーー
-------------------------
とある公爵「ああ、終わったな、第二王子は」
とある侯爵「そうですね。愚かな者です。よりにもよって『あの』リリーウェル嬢の恥を晒すような真似を……」
公「【影の覇者】と噂されていることなど、きっと知らぬのであろうな」
侯「リリーウェル嬢の周りにいると、リリーウェル嬢に気に入られた者はごく稀に恩恵を授かるとか?」
公「うむ、誠にあれは女神の恩恵だ。それを、あの無能第二王子は女神を貶めようなどと……万死に値する」
侯「(ひっ……れ、冷気がっ)そ、そうですねね!(そういえば、恩恵を受けた者はリリーウェル嬢を【女神】と崇め、信奉者になるという噂も……)」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-28 06:00:00
9679文字
会話率:38%