世界樹が息づく広大な森エルドラの奥深く。光を司る一族の末裔である若き竜リリは、一族の過去と向き合うための孤独な試練の日々を送っていた。人間との関わりを禁じられながらも、外の世界への憧れと好奇心を胸に秘める彼女は、ある日、森の中で打ち捨てられ
た人間の赤ん坊を発見する。
衰弱し、泥に汚れたその赤子は、しかし、生まれたばかりとは思えぬ不思議なほど理知的で、静かな観察者の瞳をしていた。迷いながらも、見捨てることができなかったリリは、"ユウ"と名付け(られることになる)その赤ん坊を自身の住処へ連れ帰り、献身的に世話を始める。
言葉も通じず、種族も異なる、銀翼の竜と秘密を抱えた赤ん坊。世界樹の囁きと風の歌が響く森で始まった二人の奇妙な共同生活は、やがて静かに動き出す世界の大きな流れと、忘れられた古の盟約へと繋がっていく――。これは、孤独な竜と異質な魂を持つ赤ん坊が、唯一無二の絆を育み、自らの運命を切り開いていく物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-08 09:00:00
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会話率:26%