女性のドレスの長い裾が権力の大きさを表すという風潮の時代、古くから続く有名服飾店に生まれた少女アトラは、ドレスよりもその裾に――ベールにあこがれを抱いた。
とある貴族令嬢にほれ込んだアトラは、実家を飛び出してその令嬢リーシェ・ホーエンハ
イムの裾持ちを担当する。充実した日々を送るアトラだが、リーシェの結婚が決まる中、リーシェの裾持ちは以降リーシェとともに婚約者の家に向かう者が行うこととなり、アトラはリーシェの裾持ちから離れる。その後もホーエンハイム家で裾持ちとして仕えることになる少女だが、他の誰の裾持ちも少女を満足させることは叶わなかった。
そうしてようやく、少女は己の本当の思いに気づく。
情熱を胸に、若き天才が針を振るう。
その背中を、追うために。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-08 18:00:00
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会話率:28%