境界。
そこは祝福を授かる為に人々が導かれる原初の世界。導かれた者たちは迷い子として境界を彷徨い歩く。誰一人として例外は無く、シオンもまた境界へと導かれた。しかし彼女にあるのは曖昧な記憶と、上等な装いと、古びた一冊の本だけ。
美しくも
どこか空虚な少女シオンは記憶も戻らぬまま、何やら訳ありらしい青年のスイに誘われ共に境界の旅に出た。
「――僕を連れて行ってくれませんか。僕には貴方が必要なんです」
「――ぜひ。わたくしでよろしければ、共に参りましょう」
虚構と偽りに満ちた祝福の物語が今、幕を開ける――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-10 23:44:55
67613文字
会話率:47%