その子が生まれると、二十年以内に世界規模の凶事が起こるーーそんな言葉が、ヨマーン王国の辺境にある賢者の家に代々言い伝えられてきた。その「忌み子」である十六歳の少女・カグラは、古代種族・多面族の先祖返り。自身以外にも三人の「肉体も人格も異な
る別人」を体内に隠し持ち、己の意思で自由に彼らと入れ替わることが出来るという特殊能力の持ち主だった。
カグラの再従兄弟で十七歳の少年・リムドは、育ての親でもある賢者で大伯父のノーラムから、ある日突然こう命じられる。「これから起こるであろう凶事とは何か、我が孫娘のカグラと共に探ってこい」と。気が進まぬまま旅に出るリムドとカグラ。だが二人がーーいや、「五人」が世界各地を旅をしていくうちに、少しずつ「凶事」がその正体を現し始める……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-04 00:17:18
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