その日は突然やってきた。
空を行き交う人工物のすべてが地上に降り注いだその日、人工物を作り出した人類は恐怖のどん底に叩き落された。
大質量の大型旅客機は隕石のごとく建物をなぎ倒し、地面をえぐり、大量の燃料をまき散らしながら炎上した。
小型
のヘリコプターは高速回転するプロペラであらゆるものを切り裂きながら墜落した。
音速を超えて移動中だった戦闘機は突如として交信できなくなり、重さ数千キログラムの機体は弾丸より速いスピードで砕け散った。
降り注ぐ人工物の犠牲者になるかどうかは年齢も性別も身分も権力も関係がなく、さながら空から降り注ぐ自然災害のようだった。墜落する機影が見えた時には既に遅く、数秒後には地表へ到達する。人間が数秒間に移動できる距離には限界があり、長さ60メートルの巨体からすれば微々たる変化でしかない。この事実はあっという間に広まり、浸透し、すべての人類が恐怖した。
この不可解な災害を人類は”空落ちの日”と名付け、その不可解な原因を”空喰いという化け物が空を喰った”という荒唐無稽な理由でごまかした。恐怖心にさいなまれていた人類は、このごまかしに飛びつき自らを無理やり納得させた。見上げればいつでもそこにある空を恐怖するよりも見えない化け物を恐怖する方がわずかでも安心することができたからだった。
空落ちの日からは空喰いを恐れるあまりに国も人民も法律も空を飛び回ることを禁止することに賛成し、空喰いという化け物によって人類から空が失われた。
これはそんな世界を不器用に生きる高校生の物語。
※本作品は『空喰い』の過去エピソードです。本作のみでもお楽しみいただけるよう構成しておりますが、合わせて読むとより作品を楽しめるのではないかと思いますので是非よろしくお願いいたします。
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折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-14 20:07:12
68745文字
会話率:40%
人類は空を自由自在に支配し、利用していた。しかし、その支配に突然、終止符が打たれることになる。
なんの変哲も、疑いも、前触れもなく、その大災害は発生した。
突如としてすべての航空機との通信が途絶し、数十分後にはすべての航空機が墜落を始める。
後に”空落ちの日”と呼ばれるこの日を境に”空喰い”と名付けられる正体不明の現象によって人類は空を失った。
空落ちの日から7年、それでも空を目指す者は存在した。これは、理不尽にも空を奪われた世界で空を飛ぼうとする少女と青年の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-19 12:56:51
137546文字
会話率:38%