石川県の加針町で暮らす少女『糸式沙奈』は、時折記憶が抜け落ちてしまう謎の減少に苛まれていた。医者に見せても原因は分からず、脳も身体も正常。だが周囲の人間から記憶が抜け落ちてしまった時の沙奈の様子を聞いてみれば……
「年上の不良と喧嘩してボコ
ボコにしていた」
「乱暴で荒々しい言動が目立った」
「何かカッコいい。後輩女子の目がハートになってた」
そして全員が口をそろえて「別人みたいだった」と言う。
それから五年たった今も、現状は変わっていない。沙奈の中には、もう一人の『裏の沙奈』がいる。
「『アイツ』、ホントに鬱陶しいわ! はよ出てってま! 私の生活乱さんといて!!!!」
沙奈の悲痛な願いに反して、『アイツ』の出現頻度は年々上がっていく。
可愛いものが好きでクラスで地味目な『表の沙奈』は、荒々しくアウトドア派な、女子にモテモテ男子に恐れられる『裏の沙奈』に振り回され、頭を悩ませながらも、『本当の自分』を知っていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-09-14 00:33:55
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会話率:36%