子どもの頃大好きだった男の子の言葉がきっかけで、私は絵本作家を目指すことになった。
元々絵を描くのには好きだったし、子どもの頃は親や友達に絵が上手だと褒められていたので、苦には全くならなかった。
……でも、大きくなるにつれて、自分には絵の
才能がないことに気付いてしまった。
それでも夢を諦めきれなかった私は、高校に入ってから美術部に入部することにした。
この高校は地元なのだが、有名な画家が美術講師をしているらしく、毎年何人もの生徒がコンクールで入賞しているのだそうだ。
ここでなら、才能のない私でも成長できるかもしれない。
そう思ったからこそ、私は中学では方向性が違うからという理由で入らなかった美術部に入部したのである。
――しかしそこには、私など遥かに及ばないような絵の才能がある子が何人もいた。
そして彼女達は私の絵を低レベルだと嗤い、同じ部員だとすら認めてくれなかった……
流石の私も心が折れかけ、転校することも考え夏休み中に色々と調べてみたのだが、それがとても難しいことを知る。
結局私は何も行動できず、ただ無気力に学校生活を送っていた。
しかし、ある日その日常は一変することになる。
きっかけは、高校では珍しい転校生が転入してきたからだ。
その転校生は――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-03 12:24:41
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