物語の舞台は昭和60年の神戸。主人公は藤原史暁、52歳。専門商社の専務取締役である。
戦後の混乱期、外大を出た藤原は神戸の小さな船具屋に入社。そこで辣腕を振るう。会社は
高度成長の波に乗り、創業者の娘と結ばれ専務まで昇格。義兄と共に事業を発
展させていく。
だが創始者が死去し、二代目社長の義兄と確執が生じる。己の去就を決する時が迫っていた。
そんな中、藤原はロンドンへ出張し後輩の鈴木と再会。それには私的な思いがあったのだが、
そこへ思わぬ商談が飛び込む。一転藤原は我武者羅にプロジェクトを追い掛けることになる。
これは同族経営の中で孤立する藤原と、彼の下でもの造りに奮闘する商社マンの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-12 06:00:00
44058文字
会話率:25%
主人公「私」は中小企業の経営者。大きな波に追われ、もの造りの現場をアジアへ求めて海外進出。だが日の丸を掲げるはずの役所は、どこを向いているのか、暖簾に腕押し。拙い翼で羽ばたこうとしても、所詮は中小零細。
目先の利で動く為替と、人の信頼を
求めるもの造りは、相反関係にあり、そこで成り立つ「Win-Win」はあり得ない。それを無理強いすれば破綻するのは必至。やるなら欧米の如く、短期勝負で利益が出たら撤退するのが肝要。
だが人生すべてが金で決まるほど儚くはない。自国に飽き足らないアジアの若者は、己の人生を求めて世界へ羽ばたく。千年を超えて「一所懸命」を標榜する我らとは、やはり違う。そこにドラマが生まれる……。
(「エブリスタ」掲載中)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-31 12:13:56
24750文字
会話率:18%