「俺が君を愛することはない。俺のことなど気にかけず、この離宮で好き勝手に暮らせばいい」
初夜の晩。寝室に訪れたルース王子は、冷たい声でベルリアに告げた。
隣国から嫁いできた孤独なベルリアを突き放すような、ルース王子による数々の冷遇。そし
てベルリアは、とうとうキレた。相手を呪うスキルを持つベルリアは、夫を怖がらせてやるために『余命3ヶ月の呪い』を掛ける。
「私は、あなたを呪います。……余命3ヶ月の呪いをプレゼントしますね。束の間の安息をお楽しみ下さい……ルース殿下」
夫が泣いて謝ってきたら、呪いを解いてやってもいいと思ってたのに。どういうわけだか、事態はこんがらがっていく…
「俺を解放してくれてありがとう、ベルリア。健やかに生きられるなら、3ヶ月で十分だ。こんなに幸せだと思ったことは、今まで一度もない!」
これまでしかめ面ばかりだったルース殿下は、余命3ヶ月を受け入れて幸せいっぱいな毎日を送り始めた。
「ちょっと殿下、正気ですか!? 呪いを解かなきゃ、あなた3ヶ月で死んじゃうんですよ!?」
「もちろんだよ。ベルリア、どうか最後の一瞬まで俺の隣にいてくれ」
マズイ。これはかなりマズイ。このままでは王子暗殺、ひいては両国の国際問題に発展してしまう……!
夫の呪いを解きたい妻と、解かれたくない夫の、こじれた溺愛ライフのはじまりはじまり。
※ゆるっと読めるハッピーエンドです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-05 09:06:01
9627文字
会話率:48%