勉強だけは出来る真面目系クズな高校生の俺、葛川聡には絶対に誰にも言えない趣味がある。
『ごめんなさい。小説投稿を止めます。一年半の間、皆様お疲れ様でした。私には才能がありません。最後まで完結させることができなくてごめんなさい。もう限界です
……』
そう、俺の趣味は——WEB作家潰し。”プロ”を目指して毎日投稿を頑張るWEB作家の筆を折り、もう二度と小説を書かせないようにするのが、俺の生き甲斐なのだ。
次の標的を誰にしようかと迷っている際に、大人気美少女WEB作家——マリンが目に入った。
アイドル並みのルックスと甘ったるい声。紫髪にゴスロリメイド服というオタク売り全開の美少女。
おまけにネット内で配信業を行い、読者との交流も欠かさない良い子という情報が。
だけど、純粋な悪である俺は順風満帆なマリンが苦しんでいる姿がどうしても見たかった。
「さぁーて、楽しもうじゃないか。マリン……お前が苦しむ姿を、俺に拝ませてくれよ」
と、思い、精神破壊攻撃を続けていたわけだが、何故か隣の席の女の子——廃進麻理が情緒不安定になった。
本来なら見て見ぬ振りをしたいのだが、外面を気にする俺は廃進麻理を介抱することに。
この物語は、他人の不幸が生き甲斐な嗜虐心持ちの男の子と、謂れ無き暴言を受けて情緒不安定になる、表では眼鏡っ娘だけど、裏では大人気WEB美少女作家の女の子が送る一風変わった危険な恋愛物語である。
***
「葛川くん……あたしのこと、大好きですよね……? あたしを一人にしませんよね?」
葛川聡の誹謗中傷で情緒不安定になるマリンこと、廃進麻理。
但し、葛川聡が見事に介抱し、廃進麻理は決して筆を折られることはない。
そして毎度のように励まされた廃進麻理は、次第に葛川聡に恋心を抱くようになるのだ。
「葛川くんだけです……あ、あたしのこと……ずっと好きで居てくれるのは」
「何、逃げているんですかー? 葛川くん、絶対に逃しませんよっ?」
『カクヨム』や『アルファポリス』にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-16 19:07:49
16631文字
会話率:40%