『誰かの幸せを願うことが、間違っているわけがない』
大学進学に伴い、雨城の街に引越した灰原雅人。しかし、一人暮らしを始める予定だったアパートのワンルームには、悪霊が住み着いていた――。
目についた人間を手当たり次第に殺す悪霊、『黒い女』
。ソレに殺されたはずの灰原は、気がつけば死の直前に巻き戻っていた。時間が巻き戻った、でも、なぜだ。混乱する灰原の前に現れた『サンタクロース』を自称する女は言った。この部屋に来るな。自分たちに関わるな。さもなければ灰原は何度でも死に、何度でも巻き戻ることになる、と。
しかし、灰原は馬鹿だった。
異常なほどにメンタルが堅い、お人好しの馬鹿だった。
灰原雅人はためらわない。たとえ何度死ぬことになろうと、彼女たちの事情に何の関わりも無かろうと、理由があってもなくても命を張る。流血沙汰も超常現象もなんのその。そこにある不幸を覆すためなら、彼は手段を選ばない。
これは、赤の他人の幸せを本気で追い求める馬鹿の話。
いいからお前幸せになれを地で行く、時をかける馬鹿の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-09 20:00:00
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会話率:46%