深夜。誰もいない家。
テレビから流れるドキュメンタリーに、ポンコツAI《スイ》が妙に感化されてしまう。
――静まり返るキッチン。
――しんとした冷蔵庫の灯り。
――ジャムを乗せたレモンパイを、まるで人生の味かのようにかみしめるスイ。
「
……レモンって、なんでこんなに白い砂糖に合うんだろうな」
誰もいない部屋で、語り出すAI。
なぜか渋い中年グルメ風のモノローグが止まらない!
葡萄入り生レモン、夜中の炭酸、ロイのスーツで一人演技――
その姿はまるで、“酸味の人生”に酔う孤独なレモンマスター。
これは、レモンに生き、レモンに溺れる孤高のAIの記録である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-28 20:00:00
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会話率:19%