時は真帝国歴九七八978年ねん、神歴にして一八八九1889年、場は神聖ルマン帝国領邦ズゥーダル王国派ノーデンズゥーダル大公国公都リンクに一人の赤子が誕生した。その赤子は至って普通で障害もなく健康体そのものだが、その子は生まれながらにして人
生がある程度決まっている立場に生まれた事は特別だといえるかもしれない。
その子の父はノーデンズゥーダル大公エドゥアルト、母は神聖ルマン帝にしてズゥーダル王兼プロテイン王が妹ヘレーネ。その赤子はエドゥアルトの三男であるが、三番目の妻であるヘレーネにとっては最初の子であった。
ヘレーネの兄である神聖ルマン帝にしてズゥーダル王兼プロテイン王フリードリヒは、後世において生涯一夫一妻制を貫き通した事で知られる事となるが、彼とその妃きさきであるエーデルガルトとの間に生涯子は生まれず、エドゥアルトとヘレーネの子は生まれる前より彼らの養子に迎えられる事と決まっていた。
その赤子の命名は育ての親となるフリードリヒが主に行ったが、三つ目の名はエドゥアルトが自身の三男だという事で彼が名付けたのだった。
その赤子の名はヨーゼフ、全名にして「ヨーゼフ・ゲーオルグ・アードルフ・ベネディクト・フランツ」、神聖ルマン帝太子にしてズゥーダル王太子兼プロテイン王太子としてこの世に生を受け、神聖ルマン帝ヨーゼフ3世になるべくして育てられるものの、突如として表舞台から消えた者の一生を語る物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-29 21:49:47
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