戦乱の気配が近づく幕末。武家の三男、清浜三郎太はある日突然異世界に迷い込んだ。
故郷を探し、故郷で成し遂げられなかった道を探す三郎太の先々には多くの出会いや別れ、戦いが待っていた。
その手には二尺二寸の愛刀、蛇切逆安珍。武士の心を失わ
ず、不器用ながらも歩き続ける三郎太は、やがて世界の秘密と奇妙な縁にたどり着く……。
異世界を征く、頑固で短気なとある武士の――異世界(おちかた)物語
<漂泊篇:第一章>血に始まる衝撃的な出会いであっても出会いは出会い。三郎太が辿り着いたのは普通の町、普通の人々、うるさい聖女。真新しくも平凡な日常の中、異世界に迷い込んだ衝撃も薄らぎ始めたかに見えた頃、たった一人、異常な少女が牙を向く。武士であるなら恩に報いよ! 剣を執れ、三郎太!
<第二章>これは幻か妖術か。四人の巫女の導きで、辿り着いた山間の村はまるで日本。愛刀を失い傷心の三郎太に染みゆく巫女の優しさ、故郷を偲ばせる村の景色。全てが大安心。もはや旅に意味はなし。否! 一見故郷に似たる村、知れば知るほど浮き出る違い。こんなところに居られるものか! 孤独と郷愁は怒りと変わり、刃に宿りて夜に輝く。武士よ、迷いを断ち切り悪しき因習を駆け抜けろ! ……そして、『炎帝』は来たる。
<第三章>どんなに道を知らずとも、足を動かせば前に進む。いつしか国境を越えた三郎太がやってきたのは帝政ヴォルフス。若き皇帝フリードに乞われ、開拓事業に協力する三郎太であったが、フリードの思惑は別にあった。三郎太の前に立ちふさがるは英雄『太祖』、亡国の騎士団。侮辱は許さず、やられたからにはやり返す。面目を保つことこそ武士の本義! 立ち塞がる者は全て斬れ! ……だが人は鉄で出来てはいないのだ。忠孝の心は誰にも等しく作用する、いわんや武士をや。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-22 00:00:00
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