山岳部の友人が急に亡くなった。
まだ若いのに。
葬式に出席するとご遺族の方に一冊の日記を渡された。
彼女が山岳部時代に使っていたものらしい。
読んでみると――え?
「皆で最後に冬の奥穂高に登れたらいいな」とか書いてあるんですけど。
卒業間際
の時期に聞いた時はてっきり冗談だと思っていたんですけど。
社会人になってから山とは縁遠くなった。
30歳。
皆それぞれ社会の中での立ち位置が決まっている頃だ。
僕もちゃんと登る機会なんて無いと思っていたけれど。
もし再開するなら今しかないよね。
冬の奥穂高に登れるかどうかは分からないけどさ。
大学時代の思い出を振り返りながら、社会人が山に登る。
もう一度あの峰へ。
亡くなった友人の分まで。
これは登山を通して綴られる一人の青年のストーリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-17 19:42:42
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