筋金入りの擦れっ枯らしを自認する四十路男の西条誠司は、脳出血で倒れて、胸糞悪い思いしかない生涯を振り返る暇もなく死んでしまった──はずだった。
気がついたときには、どういうわけか前世の自我と記憶を持ったまま、異世界の赤子に生まれ変わっ
ていた。
「擦れっ枯らしに『感動』と『楽しい』という言葉は存在しない」
「衣食足りずんば、礼節など糞の役にも立たない」
「人間はつき合うものではない。扱うものだ」
「何をしてもいいという自由を手にしてなければ、どんな呼び方をしようとも、そいつは単なる奴隷だ」
「人間を集めても金は買えないが、金で人間を買うことはできる」
「恋愛感情も性交も、神が子作りさせるために人間にくれてやった餌にすぎない」
「暴力に対抗できるのは、それを上回る圧倒的な暴力だけだ」
「親兄弟など『血が繋がっているだけの他人』でしかない」
「生きている人間は危険きわまりない。死体のほうが安全な代物だ」
「自分の命は神よりも尊く、他人の命は蛆虫よりも卑しい」
望んでもいない転生を余儀なくされた元四十路男が目指すのは、最期を迎えたときに「今度は好きに生きてやった」と呟いて逝くことだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-01 00:00:00
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