「長旅ご苦労。だが、君を愛する気はないから今すぐ実家に帰れ。婚約はすぐに破棄する」
狼王子の婚約者として城を訪れたシープに告げられたのは、そんな冷たい言葉だった。
羊族の姫であるシープは、両国の友好関係維持のために狼王子に捧げられたよ
うなもの。帰るわけにはいかないシープは宰相の助け舟もあり、夕食を共にするところまでこぎつける。
夕食が始まり、酒を口にしたとたん、狼王子の様子がおかしくなった。
「君はどうしてそんなに美しいんだ……」
「はい?」
「君のふわふわな毛皮に触れたい」
「さっきとキャラ違いません?」
そんな二人を見守る王と王妃は「いいぞもっとやれ」とこっそり声援を送っているのだが――?
下戸で真面目な狼王子と、自国を思う健気な羊姫の、ドタバタした恋の始まりの物語。
※猫じゃらし様主催「獣人春の恋祭り」参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-17 07:14:07
4894文字
会話率:43%