少女、豆名(まめな)都希(つき)は繁華街で男性に声をかけられ、歓び勇んで振り向いた。
彼女は悪友たちに命じられた、派手な格好をして援交親父に声をかけられるまで繁華街を練り歩かねばならない、という罰ゲーム中だったのだ。
しかし、ここでゲ
ーム終了となるはずが、彼女の周囲はぐにゃりと歪み、気が付けば大きなベッドがあるいかがわしいホテルの個室にいた。
「どうやら、やらないと出られない部屋に俺達は妖精に閉じ込められたらしい。」
ニヤリと笑みを見せたのは、月に声をかけてきた男だった。
夜久(やく)十三(じゅうそう)。
黙っていれば月だって頬を染めてしまう外見の男は、おかしな部屋に混乱する月に、さらに混乱させる言葉を言い放った。
「さっさと、済ませちゃおうか。俺は明日オフだから早く帰りたい。」
妖精世界と混ざり合ってしまった人間界では、今日も妖精による悪戯事件が頻発しており、とうとう自分にも降りかかったと都希は思った。
だが、災厄は妖精よりも目の前の男じゃない?とも。
残酷は無いような内容のはずですが保険です!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-07 07:33:25
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会話率:32%