――世界は、音に満ちている。シンガーソングライターを夢見る少年・坂宮声真は、柊学園に通う高校二年生。アコギ片手に公園で歌っていた声真は、桜が舞い散る季節に静かな少女と出会った。声をかけると走り去ってしまった不思議な少女だったが、それは一時
の巡り合わせだろう――そう思っていた。だが翌日、声真のクラスに転入してきた少女・君島葉奈こそ、その不思議な少女だったのだ。葉奈はとある事情により声を失っており、声真は先日彼女が走り去った理由を察する。しかし葉奈は『昨日の歌、とても良かったです。あなたの夢、応援したいです!』と文字を打ち込んだスマホを手に声真の前にやってきた。声を失った少女と声を命とする少年。交わってはいけない二人の、甘酸っぱくも切ない一年が幕を開ける――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-05 03:13:13
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会話率:24%