日本橋田所町の廻船問屋亀甲屋の裏長屋に、香具師の元締め藤吉が住んでいた。藤吉には一人息子藤五郎がいた。藤五郎は幼い時に母を病で亡くした。母は亀甲屋の娘だった。藤五郎は父の商いを見ながら亀甲屋の祖母に可愛がられて育った。
その後、藤五郎の
父藤吉は幼い娘を連れた女を後妻にした。連れ娘は藤五郎より年下だった。藤五郎の父はこの連れ娘の行く末を思って養女にしなかったため、藤五郎はこの娘を義妹と呼んだことはなかった。
藤五郎の父が亡くなると、後妻は父の遺言に従って遺産を受けとり、娘をつれて藤五郎の元を去った。
その後、娘は吉次郎を生んで母になった。母は自分の素性をありのままに語り、吉次郎に、藤五郎は伯父のような存在だ、と話して聞かせた。
父が他界すると藤五郎は香具師の元締の跡目を継いだ。そして廻船問屋亀甲屋を継いだ。藤五郎は廻船問屋の商いをはじめた。藤五郎は日本橋田所町の廻船問屋亀甲屋の主で日本橋界隈の裏世界を牛耳る香具師の元締にのし上がった。
金しか興味が無かった藤五郎だが、吉次郎が新大坂町に廻船問屋吉田屋を開いたと挨拶に来ると、香具師の元締と亀甲屋の跡継ぎを気にしだした、そして、藤五郎の父藤吉の遠縁に当る押上村のお藤を養女にした。
藤五郎は阿片の抜け荷を働いた。そして、阿片を菓子折に偲ばせて江戸市中の大名屋敷へ商った。この事がバレそうになったので、阿片の売人、小舟町の山形屋吉右衛門と大八車引きの六助を殺害したため、鎌鼬に斬殺された。
その後、香具師の藤五郎の跡目争いで新大坂町の廻船問屋吉田屋吉次郎が名乗りを上げるが、あくどい商いと隅田村の百姓の世話人弥助斬殺の咎で処刑される。
その後香具師の藤五郎の跡目を狙って吉次郎一家の残党、福助一味が暗躍する。福助は刺客を雇って、藤五郎の養女、押上村のお藤一味が次々に斬殺するが、お藤一味の協力で福助一味は町方に捕縛される。福助は死罪、一味の香具師は島流しの沙汰が下った。福助一味に潜入していたお藤一味の香具師はお咎め無しになった。
その後。御上は、香具師世界の出来事を逐一報告することを条件に、日本橋の香具師の元締だった亡き藤五郎の跡目を、藤五郎の養女のお藤が継ぐことを認めた。
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最終更新:2025-03-05 08:00:00
62775文字
会話率:35%
天下普請の触書が交付され普請がはじまった。運送のため大八車が増えた江戸市中は大八車の事故が増えた。そんな深夜、廻船問屋・亀甲屋に奉公している孝行息子のの大八車の車引き・六助が掘りに浮んだ。六助の後頭部の首に、蜂に刺されたような傷があり、検
視した徳三郎と町医者・竹原松月は、鍼灸の鍼のような物で刺殺されたと判断し、唐十郎たち特使探索方と町方は前日の六助の足取りを探った。
その夜。米問屋・山形屋吉右衛門が六助と同じ手口で殺害されて掘りに浮いた。
さらにつぎの夜。鍼師・室橋幻庵も同じ手口で殺害されて掘りに浮いた。
唐十郎たちの探索から、六助が山形屋吉右衛門に依頼されて、鍼師・室橋幻庵宅へ、御禁制の阿片を仕込んだ菓子折りを配達していたらしいことがわかった。
菓子折りの匂いに気づいた六助に、山形屋吉右衛門が菓子折りの菓子に薬がしこんであると話したため、阿片を抜け荷していた廻船問屋・亀甲屋を営む香具師の藤五郎が二人を口封じしていたが、唐十郎たち特使探索方はこのことを知らずにいた。
その夜。六助を雇っていた亀甲屋の藤五郎が鎌鼬なる者によって斬殺された。
特使探索方と町方の家宅改めで、藤五郎の部屋から錆びた二本軸の銀の平打簪と玉簪が見つかった。室橋幻庵が妻に買いもとめた簪だった。これらの簪の軸は鍼のように使える。
特使探索方の聞き込みから、六助や米問屋・山形屋吉右衛門が殺害された深夜、二人が藤五郎とともにいたことがわかり、六助と山形屋吉右衛門を殺害した下手人は藤五郎と判明した。藤五郎の阿片の抜け荷の解明と鎌鼬なる者の捕縛は未解決であった。
鍼師・室橋幻庵宅の家宅改めで、幻庵の子息・和磨の部屋から血の着いた布に包まれた二本軸の金の簪が見つかり和磨が幻庵殺害を自白した。山形屋吉右衛門が御禁制の薬を六助に漏らしたと知った幻庵が、六助と山形屋吉右衛門を殺害したと思い、和磨は父を許せなくなって殺害していた。和磨は菓子折りが御禁制の薬と薄々気づいていた。
徳三郎は与力の藤堂八郎を通じて和磨に、父を思うが余りの殺害であったことを奉行所の吟味と評定で述べるように伝え、温情をかけてもらうように助言する。
後日。奉行所の温情により、和磨は島送り、家族は江戸所払いになった。また、廻船問屋・亀甲屋は阿片の抜け荷を摘発され、駿河の芥子栽培人ともども捕縛された。
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最終更新:2024-06-18 08:00:00
47872文字
会話率:43%
くいっさ(山本九一)は明治40年の生まれ。尋常小学校を出るとすぐに常滑の関製陶所に就職。土管造りに励んだ。大正年間から昭和初期の太平洋戦争までの常滑は土管造りで栄えていた。
当時の土管造りはほとんどが手作業だった。くいっさが関製陶所に入
って数年後に社長の1人娘の綾さんが生まれる。この綾さん、鄙にまれな美貌の持ち主。小さいころから土管場の窯場や作業場を遊び場としてた。他の女の子の様にままごと遊びにには興味を示さず、百人近くいる従業員の仕事ぶりばかり見て育っていた。特にくいっさがお気に入りで、仕事中でもくいっさにまとわりついていた。
綾さんが中学校を出て数年後、くいっさと共に釉薬の研究を始めた。その後、綾さんは東京の建材店の勧めで、釉薬の研究をするために東京に出かけた。
それから2年後、綾さんは殺された。遺骨が奥さんの胸に抱かれて帰ってきた。この時くいっさは言いようのない絶望感に襲われた。
それから数か月後、1人の流れ者が関製陶所に雇われた。くいっさと同じ部屋で寝泊まりした。彼の名は“のぶ”と言った。のぶは小柄で痩せてはいたがすぐにも土管造りの作業に馴れていった。数か月して、綾さんと共に始めた釉薬の研究や窯焚きも手伝わせた。
ある夜,くいっさはのぶが真夜中に外に出ていくのを知った。後をつけると墓場であった、関家の墓の前で蹲り、墓の中から白い骨を取り出してしゃぶったりしていた。くいっさは慄然としたがその行為をとがめて連れt還った。
そしてのぶが綾さんを殺した事、綾さんを愛するあまり、ここまで来た事を告白した。
くいっさはのぶを殺した。釉薬用の窯にのぶの死体を入れて、釉薬の見本と共にのぶの死体を焼いた。
焼きあがった釉薬のなかに、綾さんの肌色そっくりの色見本が出てきた。
くいっさはそれを終生大切の持っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-08 09:25:31
23262文字
会話率:17%
農民は爆発寸前だった。食うや食わずで働いても、出来た作物は年貢として納めなければならない。
そんな中、ブチ切れた農民軍団は遂に反乱を興す。
時を同じくして、漁村の海岸に船が接岸する。その船はとっくに滅びたと思われていた平家一門のものだった。
そして漁村は焼き尽くされる。
源氏系の農民、漁村民入り乱れて平家一門との大乱闘へと発展していく。そして…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-31 00:00:00
6833文字
会話率:43%
徳川時代、大八車で荷を運ぶ町人の日常に起こった出来事
カクヨムにも掲載しています。 時代劇っぽくしてますがアバウトです
最終更新:2019-05-12 23:04:35
3635文字
会話率:57%