【俺は、ただの陰の支配者ごっこを楽しんでいただけだった――】
裏路地で黒いマントを翻し、夜な夜な「影の詩」を呟く。それが唯一の趣味であり、ささやかな厨二遊びだった。
だがある日、俺が気まぐれで語った言葉が、孤児たちに神託として崇められ、
街には“影の御方”という噂が蔓延する。
勘違いは連鎖し、やがて暴力を司る男、血に濡れた暗殺姫、復讐に狂う魔科学者たちが俺を黒幕と信じ集ってきた。
気づけば俺の「影」は街を飲み込み、国境を越え、王都すら恐怖に沈めていく。
それでも俺は、相変わらず夜空を見上げてこう思う。
——俺は影だ。どこにもいなくて、どこにでもいる。
勘違いから始まった影の物語は、誰も止められない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 12:00:00
34270文字
会話率:26%