人々が地球という惑星を捨て、生活のステージを宇宙へと移した時代。
とある宇宙コロニーでは、かつて住んでいた地球を模倣するため
長い時間をかけて様々なことが行われていた。
昼夜の概念、コロニー内の緑化。
そして、コントロール・タワー《季節の
塔》による、春夏秋冬、季節の再現。
物語の主人公であるタクトは、その塔で働くことを夢見ながらコロニーで生活していた。
そんな彼はある夏の日、貧民街で行き倒れになっていた一人の少女と出会う。
アイリスと名乗った少女は、幾ら尋ねられても家の場所も、親の名前も話すことはなく。
仕方がなく、タクトとその姉は彼女を家に置いておくことにしたのだった。
そのまま夏が過ぎ、秋が過ぎ。
時が流れると共に、アイリスもタクトたちの生活に馴染み始め。
冬も終わろうかという時期に、異変は起きた。
……冬が終わらない。春が来ない。
コントロール・タワーの異常なのか、他になにか原因があるのか
冬の再現として降らせていた雪が、止まることなく延々と降り続けていた。
交通網も麻痺し始め、人々の生活にも支障が出始めたころに
街中に設置されたディスプレイから、コロニー市長による一斉放送が流れる。
『季節を廻らせている女王の一人が《季節の塔》から抜け出し、
コロニーの中へと出て行ったまま帰ってきていない』
『春の女王が戻ってこなければ、冬が終わり、春が来ることはない』
『春の女王を見つけ出し、連れてきたものには好きな褒美を取らせよう』
『この少女が――』
そして最後に映し出された映像に、タクトは息を呑んだ。
それは自分が貧民街で拾った少女、アイリスの姿だったのだから。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-03 23:43:56
28082文字
会話率:37%
冬の女王様は、おっしゃいました。とてもやさしいお声で。「春も夏も秋も、みな、いなくなってしまったのです。もう、私たちはいらないでしょう、と」。10歳のマーは、友達のルゥ(犬)といっしょに、春や夏や秋の女王様をさがしに出かけました。 ※「冬の
童話祭2017」参加作品。10歳向け。「カクヨム」にも投稿。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-12 22:16:54
9726文字
会話率:34%