地球を飛び出し、銀河系のいたるところに拡散して生息域を広げ、離合集散・栄枯盛衰・切磋琢磨を繰り返した末に、全銀河・全人類を包含した統一政体のもと、恒久平和を実現するに至った人類の、一万年にも及ぶ、大樹のごとき歩みの経脈。それが、銀河戦國史
です。
その大樹よりこぼれ落ちた一葉の物語が、エリス少年のもとに舞い込むのです。彼は、恒久平和実現後の銀河系で暮らす、歴史好きの少年です。今日も彼は、一葉の物語に乗って、遥かなる歴史の探索に乗り出すでしょう。
さあ!あなたも、銀河系を股にかけた全人類史という壮大な歴史叙事詩の1ページを、エリス少年と一緒に垣間見るべく、遥かなる時空へと旅立とうではありませんか!
今回、エリス少年のもとに舞い込んだ物語は、銀河史中世のものです。封建的で独裁的とよびうる星団国家の中にある、とある貧しい集落における、一人の少年の成長と旅だちが記されます。
褐色矮星を主星とする星系に属するガス惑星。それをめぐる、岩石でできた衛星。さらにそれを周回する人工天体が、彼のふるさとです。人工孫衛星とも呼びうる三つの宙空建造物が、主人公のふるさとである集落を成しているのです。
その集落での暮らしぶりの、地球時代との隔世の感を味わって頂きます。ガス惑星や星系ガスや岩石惑星から資源を採取し、それらから化学的に食料や資材を合成するという、正確な宇宙の姿から構想したリアルな暮らしぶりを、精緻に描いたつもりです。領主への納税や近隣集落とのトラブルなど、封建的社会ならではの苦難も語っています。宇宙という生活場所ならではの危険や工夫も示しました。
その中で主人公は、苦労して様々な仕事を習得していく一方で、一人の少女に恋をします。幼女から女へと、たわわに成長していく彼女への劣等感にさいなまれる主人公。裏切りと取るしかない彼女の行動に傷つく主人公。それにもめげずに成長し続け、集落の中心人物となり、更には広い銀河の彼方で活躍するチャンスをつかみ、旅だちの時をむかえた主人公。
そんな主人公の成長譚の先に、おさない恋がたどり着いた結末を、ぜひ目撃してください!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-18 17:00:00
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会話率:24%