圧倒的な力を有する神と、非力なニンゲンが対立する世界。紆余曲折あって家出した半神のラックは、『城の神器』であり従者であり幼馴染であるアビスとともに旅を始めていた。
世界を救うだとか巨悪を討ち滅ぼすだとか、そんな尊い使命を持ち合わせていないラ
ックはとりあえず生きることを目的に日々を過ごそうとする。
しかし、閉鎖的な空間で育った彼はただただ痛感する。己の無力さを、鈍感さを、矮小さをーー自分がどれほど愚かで考えなしの存在であったのかを。
「なぁ……アビス。死を悲しめない自分ってさ、変なのかな」
「そう思えるだけラックは正常だよ、きっと」
そして同時に知る。この世がどれほど素晴らしいものであったのかを。
ーーこれは知識ばかりで『無知』な青年が、様々なものを知る物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-06 20:06:34
8616文字
会話率:31%