諫早拓人(いさはやたくと)は知っていた。美に対する定義は、時代によって、場所によって、変動する。平安時代の美人は麻呂眉にお歯黒で、むしろ顔が見えずに髪の美しさが美貌だったと。ゆえに、美形の定義も変動することを。
けれど、彼は知っていた。自分
はモブだ。普通顔だ。平凡だ。モブ顔なのだ。
それが、絶世の美男子とか言われる状況が、どれほどオカシイかなんて、彼はちゃんと、解っていた。
※「カクヨム」さんにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-12-25 15:00:54
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