サラントナ王国には誰もの目を奪う、それはそれは美しい令嬢がいた。その名もスカーレット・マルコーニ。公爵家の令嬢で18歳。胸元まで伸びる緋色の髪にアンバーの瞳をもつ少女だ。
美しき令嬢であるスカーレットは現在、卒業パーティーの会場で婚約者で
あるサラントナ王国の第一王子、アイル・トーン・サラントナを真っ直ぐと見据えていた。
「スカーレット・マルコーニ!貴様との婚約を今、この時をもって破棄させてもらう!」
長年通っていた学園の卒業パーティーでアイル王子は高らかに宣言した。スカーレットには、アイル王子が"最も信頼している令嬢"のラベンダー・ブルーリアを迫害した罪があるらしい。
多くの人々の軽蔑の眼差し、愛していたはずの婚約者からの突然の糾弾に世の令嬢であれば、卒倒していてもおかしくないところである。
…しかし美しき令嬢、スカーレット・マルコーニの心内は全くもって違っていた。
(この時を…ずっと、待っていたわ)
そう、これはすべて彼女が仕組んでいたことだったのである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-01 15:00:00
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