トンチキ理論 小説家になろう　作者検索

　DE＝PMc^2――ドロームエナジー方程式。人間という存在の真理に最も近いとされる数式である。 　それを発見した天才脳科学者は夢の謎を解き明かすため、ある鉱物資源の研究開発に傾倒する。その末に、最愛の妻の後を追って拳銃自殺を図った。 　ドロームライト（夢幻鉱）と呼ばれるそれは生命の夢が結晶化した鉱物であり、惑星クレイドルに埋蔵される次世代の資源だった。 「世界が見る夢」――なんてことはない、ドロームライトが起こす夢幻異界化現象というそれによって生じる異界「ドロームランド」を探索して資源を持ち帰ることを生業とする賞金稼ぎを、人々は「ストライク・ドリーマー」と呼び、そしてドリーマーたちが操る十メートル級からなる探索用万能型汎用機動兵器を、「ストライカー・ギア」――SGと呼称した。 　そんな若手ドリーマーの一人・エストはエンジニアだった一族が残したSG〈グレンデル〉を相続し、遺言に従ってアマミヤドロームランド探索社に入社する。 　しかしエストの操る〈グレンデル〉にはいくつもの不審点があった。一つに同世代機よりもスペックが頭抜けていること、一つにその戦闘性能にむらっ気があること、そして――意志を持って、喋ること。しかも美女のアバターにバ美肉して。 　不思議に思いながらも新品を買う余裕などないエストはそれを使い、売れないドローム探索社の「アマミヤ探索社」に勤めるのだった。 　今日もまた、おしゃべりな愛機〈グレンデル〉と、バ美肉SG生命体グレンに付き合わされ、仕事に精を出す――。折りたたむ>>続きをよむ