夜の浜辺で出会った、横歩きの男と、迷いを抱えた女。
「かにになってたんだ」と語る男は、虚構と事実の境界を漂う“蟹の旅人”だった。
都市、海辺、農村、廃墟――彼と彼女は様々な場所を巡りながら、世界の見方を少しずつ交換していく。
「私はどこ
に立てばいいのか」
「私はどこへでも横に逸れられる」
まっすぐ歩くことが全てではない。蟹のように、ずれて、揺れて、それでも一緒に旅を続けたふたりの寓話。
これは、虚構と現実の狭間を旅する、ちょっと変なロードノベル。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 20:30:54
9615文字
会話率:44%