ホープ島、ヘルズ・スクエアに暮らす子供達を描いた三部作のパートⅡ。
語り手は、第一部の話し手エッグの親友、マッシュ。成長し、パートⅡでは十五歳になっている。
マッシュは心身ともに健全な少年である。どんな事が起きても、その全てを、広い心
と大きな度量、ゆるぎない静かな自信で、がっちりと受け止める。誰の、どんな部分も否定せず、ありのままの姿を理解し受け入れる。エッグの様に、悪魔的な魅力は持ちあわせていないが、そのエッグでさえ、マッシュがいなければ、その魅力を十分に発揮する事ができない。他の子供達も同じで、傍らにマッシュがいて初めて、それぞれの能力を存分に生かす事ができるのだ。
パートⅡは、ヘルズ・スクエア再生の物語である。エッグ、マッシュに加えてサイクロンという少年の三人が、最悪のスラムを蘇らせていく。
いわば地元再生の為に、水製造、食料生産と、いろいろ試みるものの、全て惨敗。彼らには、資金もなければ、経験もノウハウもない。ただ、諦めないガッツがあるだけである。そんな中、ヘルズ・スクエアを蘇らせたのは、不思議な植物の存在だった・・・。
エッグとマッシュは、魂から魅かれあった様な特別な絆を持っていて、それはもちろん大きな力になりえるが、それだけではヘルズ・スクエアを救えなかった。蘇りを果たしたのは、エッグとサイクロンの、微妙で複雑な関係である。
サイクロンは、独創的な少年だが、エッグとはてんで気が合わない。また、マッシュの親友の立場を取り合うライバルでもある。当然、エッグとはぶつかってばかりいるのだが、その裏では、お互いを認めあい、信頼する心が育っていた。
三少年が育む友情の力。それこそが、ヘルズ・スクエアを救ったのである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-25 06:41:33
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会話率:7%