世界最悪のテロリスト組織【カズラの樹】―――それを統べるのはヴァインという青年だった。
ヴァインは口を開けば罵詈雑言、自分にも他人にもスパルタ、笑ったと思えばそれは嫌味。
……そうせざるを得なかった。自分の求めるヒーローになるため
には。そう、かつて世界樹を枯らした事もあるという『蔓』の能力を使うには、そういう呪いが課せられるのだった。
ヴァインが求めるのは正義も悪もない、だけど寂しくて怖くて辛い思いをする人を助けてくれるヒーローだった。それはただの慈善稼業。だけどヴァインはそれでよかった。
自分は嫌われ去って行くだけ。その足跡に幸せの種を残せればいい。そんな彼に、ついて行こうと思う人は徐々に増えていき……いつの間にか、各地で『語られない正義』を執行する組織の頭になっていたのだった。
ヴァインは玉座でニヤリと嗤いこう呟く……
(俺の求める孤高のヒーローはどこにいった? この状況はなんだ?)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-17 00:00:00
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会話率:48%